バレエのサイエンス
ジョーン・ローソン著
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仙骨や腰椎周辺はターンアウトを維持するためにも、バランス調整のためにも、もっとも大切な部分です。

 脊柱はショックを緩和する3つの湾曲からできるだけまっすぐになるように、
ウエストから上下に強く引き延ばさねばならない。
頸椎の湾曲をまっすぐに伸ばすことで、頭部は持ち上がってバランスを保ち、
頸部や上肢帯を動かさずに自由に動かすことができる。
胸椎の湾曲をまっすぐに伸ばすことで肩甲骨が平らになり、肋骨状上をすべるように
動かすことができ、下肢からより遠くへ体重を持ち上げやすくする。
さらに、肩関節でより自由に腕が動くようになる。

 腰椎をまっすぐに伸ばすこと、つまりウエストから仙骨までの脊柱を下にひっぱることにより、
腹や腿の筋肉が強く働き、ターンアウトを促進させる。
仙椎も腰椎もほとんど動かすことはできないが、安定するようにコントロールすることが大切で、
ここが不安定だと脊柱は湾曲し、バランスは崩しやすくなる。

肩甲骨はできるだけ離した状態に保つのがよい。くび、肩、腕のどこにも力を入れない。

ウエストから股関節までの骨盤周辺の筋肉は腿や臀部の筋肉と共同し、
下へのひっぱりに対抗して、上体を上へ持ち上げているように見えなくてはいけない。

重力に逆らってバランスをとるには逆方向に引っ張り合う力がつねに必要となる。
ダンサーは脊柱をまっすぐにし、両足の中央前方を通る、
あるいは片脚を経て足の甲の前より通る軸でバランスを維持する。
したがって、前後左右に動かすときは股関節から動かすしかない。
バランスの中心を維持されていれば、体幹のすべての筋はこの中心軸に向かって引っ張られている。

息を吸い胸や肩が外側に広がることによって、肋骨をウエストラインから遠ざけるように持ち上げる。
腹直筋をできるかぎり内側に引き締め、上にひっぱって、ウエストを細くする。

膝蓋骨を平らにするために大腿直筋を上に引っ張り上げる。
O脚の人は膝蓋骨が後ろにひっぱられ、脚のラインから垂線からはずれないように
大腿後部の筋肉(ハムストリングス)を伸ばさないようにする。

前面の大腿四頭筋を上方に引き上げ、同時に縫工筋や薄筋を下方にひっぱるようにすれば
脚の真っ直ぐなラインを維持することができる。
このように大腿の内側外側の筋肉を使うことによって、臀部の筋肉を内に向かって
集めるようにひっぱることができる。しかし、これは重心が中心軸より前にかかっているときのみ可能である。

大腿四頭筋は縫工筋とその共同筋である薄筋とは逆の張力を発揮し、
ターンアウトはその作用に助けられている。
縫工筋を下方に大腿四頭筋を上方に引っ張ることにより、Y字靱帯と恥骨大腿靱帯を動きやすくし、
また大腿骨骨頭が股関節でわずかに外側に回転するためのスペースを与える。
このように得られた大腿骨骨頭の新しい位置は臀部の筋肉を内に強く引き寄せながら
大腿四頭筋を上にひきあげているときのみ維持できる。

アラベスクでは背中を真っ直ぐにしなさいはだめ。わずかに骨盤をかたむける。
腰椎周辺をできるかぎりしっかりと静止させることが重要。背中を上に伸ばすイメージで。

脚をターンアウトすると膝が引っ込み脚部が安定するし、体重は前にかかり、腰椎の湾曲が平坦になる。
そこで胸椎の湾曲、つまりウエストラインから首の付け根までをまっすぐにすることにより
脊柱がウエストから上に向かって引き延ばされる。
このとき、骨盤を下に引っ張るのに伴って腰椎がかすかに調整され
それが結果的に第11,12胸椎を伸ばすことになる。

肩甲骨の間に鉛筆をはさめるほど、肩を引き寄せてはいけない。
肩甲骨を肋骨に押しつけると上体が下に押さえられてしまうのでハムストリングスのストレッチができない。
なぜなら体重が後ろにかかりすぎ、かかとにのってしまうから。こうなると広背筋を使えない。

ドゥミプリエでは下降するところで股関節よりも下の部分はすべてリラックスすることが重要で、
でもやはり脊柱は真っ直ぐにコントロール。