野沢 尚

結婚前夜 NHK水曜シリーズドラマ「結婚前夜」のシナリオ。
結婚式の前日、花嫁が一人の男と行方不明になった。
その男性とは、花婿の父親だった…。世の中の適齢期女性に贈る、応援歌。

「大切なものを手に入れなきゃいけない時に手に入れなかったら・・・それは、
その時死んだってことです。それから先は、後悔ばかりの人生ってことです」と
帯に書いてあった。

この本は本当に女性に贈る応援歌???
いつも罪と救いの重たい小説ばかり書いている野沢さんの初の恋愛話。
どんなストーリー?と思ったらこれが普通の恋愛ではない。
マイフェアレディ好きな女性にはうれしいお話だから、NHKでドラマにも
なったんでしょうけれど、内容が納得いかない。
上記の言葉を吐いた人が後悔するような人生を最後に選ぶところが納得いかない。
この本の狙いは恋に恐れて傷つかないように生きるよりも
恋をしようよ。という応援歌?だとしたらこのラストで妥協して選んだ人と
結婚しない勇気を持とうよ女性達。と、思うぞー。
魔笛 icon 公安と新興宗教のはざまで生み落とされ、首都を暴走する未曾有の恐怖。
警察をあざ笑うかのようにテロを仕掛け続ける女が求めるのは、罰か。
救いか。悪魔的な頭脳で日本を恐怖に陥れた彼女を、若き刑事と、
その獄中の妻が追う。「狂気」を極限まで描き尽くす、作家・野沢尚の到達点。


公安という警察の怖さを知り、宗教に落ちていく人の心の闇が
恐いと思い、洗脳の怖さを思う。
途中で少し長い途中経過はあるけれど、爆破物につきものの
時間との戦いや、犯人と刑事の心理ゲーム、公安と警察の戦い
など複雑な糸のからまりから刑事は犯人を逮捕する。
その過程は読者までを嫌な汗をかかせるような作品でした。
リミット icon 連続幼児誘拐事件の謎を追う警視庁捜査一課・特殊犯捜査係勤務の有働公子。
婦人警官でなく、一人の母親として事件の当事者となってしまった彼女は、
わが子を取り戻すため、犯人のみならず警視庁4万人を敵にまわすことに…。
驚愕の展開、そして誰も予想だにしなかった戦慄の結末。ミステリーの到達点。


結婚前夜では人を愛することについて疑問な結末だったが
このお話は母と子の愛情を強く描いている。
たぶんこんなタフな母親は存在しない。
これは野沢さんの憧れなのかもしれない。
臓器売買など今の時代起こってもおかしくない話だったし
このお話が実際にありそうなくらいリアル。
ストーリーはそんなにうまくいかないよね。とは
思うけれど引き込まれて読み終えました。面白かったよ。
深紅 icon 父と母、幼い二人の弟の遺体は顔を砕かれていた。
秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、
癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。
父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。
正体を隠し、奏子は彼女に会うが!?吉川英治文学新人賞受賞の衝撃作。


これは一人生き残ってしまった被害者の女の子と加害者となった
男の娘の話。
どちらもそれぞれに深い傷を負い、生きいかなくてはいけない。
家族全員を殺されてその憎しみや怒りはどこへ向かうのか?
これこそ、狂気の道へ?彼女はどうやって救われる?
野沢さんは常にこのようなテーマの本を書かれている。
彼も救いを求めていた一人なのかもしれない。
砦なき者 icon 報道番組『ナイン・トゥ・テン』に売春の元締めとして登場した女子高生が
全裸で首を吊った。恋人を番組に殺されたと訴える青年八尋樹一郎の姿は、
ライバル局の視聴率を跳ね上げた。メディアが生んだ一人のカリスマ。
その邪悪な正体に気づいたのは、砦を追われたテレビマン達だった。
『破線のマリス』を超える衝撃。


これはおもしろくて、引き込まれて読み切りました。
インタビューを通しての心理描写や、良く気がつく気の回し方
この本を読んだら少し、野沢さんの内面に触れたような
気がしました。
こんなによく考える人だと、いろいろ見えないことも
見えてくるのかもしれない。
破線のマリスよりもおもしろかった!
破線のほうはちょっと先の見えない
展開にイライラしたから・・・。
破線のマリス 最近、自殺してしまった野沢さんの本を亡くなってから
初めて読みました。
とってもおもしろかったです。
テレビの世界、真実とは。
誰のために、なんのために。
一人の男と一人の女が危険なワナにはめられていく。
他の作品も読んでみたくなりました。
さすが江戸川乱歩賞受賞作。
最後までドキドキしながら読み終わりました。