宮本 輝

 花の降る午後 icon 宮本輝さんの本を読んだのはこれが初めて。
前からお名前は知っていましたが、どちらかというと
最近は女流作家さんの本を読むことが多かったみたい。

タイトルが有名だったので、まずこの本から
スタートしました。(ある作家さんと出会うとその作家さんの
本を続けて読みたくなる癖があるので)

若くして夫を亡くし、未亡人になった典子。
神戸の老舗レストランを切り盛りし、周りには彼女を支える
素敵な人たちに囲まれている。
そんな中起こる、彼女のお店「アヴィニョン」の買収騒ぎ。
誰がそんなことを?そして彼女はどうやって切り抜けるのか?
突然現れた恋人を信じてもいいのか???
とってもおもしろくて、久しぶりに徹夜してしまいました。
面白くて途中でやめることができなかった〜。
お薦めの一冊です。
夢見通りの人々 icon その名前とはうらはらに、夢見通りの住人たちは、
ひと癖もふた癖もある。
ホモと噂されているカメラ屋の若い主人。
美男のバーテンしか雇わないスナックのママ。
性欲を持て余している肉屋の兄弟…。
そんな彼らに詩人志望の春太と彼が思いを寄せる
美容師の光子を配し、めいめいの秘められた情熱と、
彼らがふと垣間見せる愛と孤独の表情を描いて
忘れがたい印象を残すオムニバス長編。


いろんな人がいて、それぞれが外見とは違う
考えを秘め、生きていくのだな〜。
この本を読んで何かを得ることはないけれど、
人とのつきあいは関わってみなければ
わかならいのかもしれないな。と感じた。

第2章の おばあちゃんが最後に感じた幸せには涙。
避暑地の猫 icon 清澄な軽井沢の一隅に、背徳の地下室はあった。
そこでは全ての聖なる秩序は爛れ去り、人間の魂の
奥底に潜む、不気味な美しさを湛えた悪魔が、
甘い囁きを交わすのだ。尊敬する父も、美しい母も、
愛する姉も、そして主人公の少年も、そこでは
妖しい光を放つ猫となる。
だが、この作品で猫とは何か―?


最初からぐんぐん惹きつけられて読み進めました。
地下室の秘密って、なんだか恐くもあり、
知りたくもある危険な香り。
同じ香りのする人間に引き寄せられる人間。
あなたが自然と引き寄せられる人間はあなたの
鏡なのかもしれませんよ。
そう考えると恐い・・・。

錦繍 新潮文庫
「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、
まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」
運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人が、
紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。
そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る―。
往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を
埋め織りなす、愛と再生のロマン。


宮本輝さんの代表作だということで読んでみました。
不倫相手に刺されてあわや心中という、
壮絶な出来事に惹きつけられるように読みました。
手紙のやりとりを読むのって、他人の秘密を
読んでいるようで、どきどきするのは私だけかな?

叙情あふれる作品であることは認めますが
心に残ることではなかったのが正直な気持ち。
恋愛の執着心とか、どろどろな気持ちは
とてもよく理解できましたけれど。
泥の河 蛍川 道頓堀川 
ちくま文庫
宮本輝さんの代表作品として読んでみました。
泥の河は太宰治賞
蛍川は芥川賞

ストーリーは3つとも暗く、興味のある内容ではなかったので
だらだらと読み進めてしまった。
泥の河では貧富の差というのか、幼い頃は
どんなお家の子とでも、仲良くできたのに、
今は背景も含めてお友達を選んでいた自分を少し
恥ずかしい気がした。
でも、それは出会う場所というものもあって、
英会話教室で出会う友達、派遣先で出会う友達、
学校で知り合った友達。
こう考えると似たような環境や、考えのお友達が
出来て当たり前なのかもしれないね。

蛍川は最後の幻想的シーンだけが映画のよう。
そこまでの道のりがう〜ん・・・。

道頓堀川は惰性で読み切った。(ファンの方、すみません)

ここが宮本輝さんのスタート地点なんだな〜ということを
確認できた。でも、usagi。的には花の降る午後の方が
お薦め。